日本史探偵団文庫 五箇条の御誓文関係史料 入力者 大山格 |
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底本は、「由利公正の素案」「福岡孝弟の修正案」「木戸孝允の修正案」については 明治神宮宝物殿 編 『明治天皇と維新の群像』所収の原本画像である。 「御祭文」「五箇条の御誓文」「明治維新の御宸翰」については 『稿本詔勅録・巻之一・内部上』である。アジア歴史資料センターA04017122900 |
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由利公正 「議事の体大意」 |
由利公正の素案 議事の体大意 一 庶民志を遂け 人心をして倦ま さらしむるを欲す 一 士民心を一にし盛に 經綸を行ふを要す 一 知識を世界に求め 廣く 皇基を振起すへし 一 貢士期限を以て 賢才に讓るへし 一 萬機公論に決し 私に論するなかれ 諸矦會盟之御趣意 右等之筋ニ可被 仰出哉 大赦之勅 一 列矦會盟式 一 列藩巡見使ノ式 |
福岡孝弟 「盟約」 |
福岡孝弟の修正案 會盟式 一 上ノ議事所ニ於テ 皇帝陛下臨御列矦會同三職出座(衣冠礼ノ如ク坐配議事式ノ如クス但下參與ノ者席ニ列坐スヘシ)總裁職盟約書ヲ捧テ讀之(御諱并總裁名印既ニ存ス)列矦拜聽就約 一 總裁職盟約書ヲ讀ミ終リ議定諸矦一人宛中央ニ進ミ名印ヲ記ス(本氏ヲ書スヘシ)次ニ列矦同之 一 盟約式終リ列矦退ク次日約書ノ寫ヲ以テ天下ニ布告ス 盟約 一 列矦會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ 一 官武一途庶民ニ至ル迠各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ 倦マサラシムルヲ欲ス 一 上下心ヲ一ニシ盛ニ經綸ヲ行フヘシ 一 知識ヲ世界ニ求メ大ニ 皇基ヲ振起スヘシ 一 徴士期限ヲ以テ賢才ニ讓ルヘシ 右ノ條々公平簡易ニ基キ 朕列矦庶民協心同力唯我日本ヲ保全スルヲ要トシ盟ヲ立ル事如斯背ク所アル勿レ |
木戸孝允 「誓」 |
木戸孝允の修正案 會誓式 内容は福岡案のまま題名のみ修正 誓 一 列矦會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ 一 上下心ヲ一ニシ盛ニ經綸ヲ行フヘシ 一 官武一途庶民ニ至ル迠各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ 倦マサラシムルヲ欲ス 一 舊來ノ陋習ヲ破リ宇内ノ通議ニ從フヘシ 一 知識ヲ世界ニ求メ大ニ 皇基ヲ振起スヘシ 以下福岡案に同じ |
御祭文 近代デジタルライブラリー 『太政官日誌』第一冊38コマに総ルビがあり読みやすい。 |
御祭文 懸久毛恐支 天神地神乃大前尓今年三月十四日乎生日乃足日登撰定天禰宜申左久今与利天津神乃御言寄乃隨仁天下乃大政遠執行波無止之天親王卿臣國々諸侯百僚官人遠引居連天此神床乃大前仁誓津良久波近起頃保比邪者乃是所彼所仁荒比武比天天下佐夜藝仁佐夜藝人乃心毛平穩奈良受故是以天下乃諸人等乃力袁合世心袁一津仁之天 皇我政袁輔翼奉利令仕奉給閉止請祈申禮代波橫山乃如置高成弖奉留形袁聞食弖天下乃萬民袁治給比育給比谷蟆乃狹渡留極白雲乃墮居向伏限逆敵對者波令在給波受 遠祖尊乃恩賴袁蒙利天無窮仕仕奉禮留人共乃今日乃誓約尓違波無者波天神地祇乃倏忽仁刑罰給波無物曾止 皇神等乃前尓誓乃吉詞申給波久止申 |
五箇条の御誓文 | 五箇条の御誓文 一 廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ 一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フベシ 一 官武一途庶民ニ至ル迠各其志ヲ遂ケ 人心ヲシテ倦マザラシメン事ヲ要ス 一 舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クベシ 一 知識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スベシ 我國未曾有ノ變革ヲ爲ントシ 朕躬ヲ以テ衆ニ先ンシ天地神明ニ誓ヒ 大ニ斯國是ヲ定メ萬民保全ノ道ヲ 立ントス衆亦此趣旨ニ基キ協心努力セヨ 慶応四年三月十四日 御諱 勅意宏遠誠ニ以テ感銘ニ不堪今日ノ急務永世ノ基礎此他ニ出ベカラズ臣等謹ンデ 叡旨ヲ奉載シ死ヲ誓ヒ黽勉從事冀クハ以テ 宸襟ヲ安ジ奉ラン 慶應四年戊辰三月 總裁名印 公卿諸侯各名印 |
明治維新の御宸翰 | 明治維新の御宸翰 朕幼弱を以て律に大統を紹ぎ爾来何を以て萬國に對立し 列祖に事へ奉らんと朝夕恐催に堪へざるなり竊に考るに中葉 朝政衰てより武家権を専らにし表は 朝廷を推尊して實は敬して是れを遠け億兆の父母として絶て赤子の情を知ること能はざるやふ計りなし遂に億兆の君たるも唯名のみに成り果其が為に今日 朝廷の尊重は古へに倍せしが如くにて 朝威は倍衰へ上下相離るゝこと霄壌の如しかゝる形勢にて何を以て天下に君臨せんや今般 朝政一新の時に膺り天下億兆一人も其處を得ざる時は皆 朕が罪なれば今日の事 朕自身骨を勞し心志を苦め艱難の先に立古 列祖の盡させ給ひし蹤を履み治蹟を勤めてこそ始て 天職を奉じて億兆の君たる所に背かざるべし往昔 列祖萬機を親らし不臣のものあれば自ら将としてこれを征し玉ひ 朝廷の政總て簡易にして如此尊重ならざるゆへ君臣相親しみて上下相愛し徳澤天下に洽く國威海外に輝きしなり然るに近來宇内大に開け各國四方に相雄飛するの時に當り燭我國のみ世界の形勢にうとく舊習を固守し一新の效をはからず 朕徒らに九重中に安居し一日の安きを偸み百年の憂を忘るゝときは遂に各國の凌侮を受け上は 列聖を辱しめ奉り下は億兆を苦めん事を恐る故に 朕こゝに百官諸矦と廣く相誓ひ 列祖の御偉業を繼述し一身の難難辛苦を問はず親ら四方を經營し汝億兆を安撫し遂には萬里の波濤を拓開し國威を四方に |
宣布し天下を富岳の安きに置んことを欲す汝億兆、舊來の陋習に慣れ尊重のみを 朝廷の事となし 神州の危急をしらず 朕一たび足を擧れば非常に驚き種々の疑惑を生じ萬口紛紜として 朕が志をなさゞらしむる時は是れ 朕をして君たる道を失はしむるのみならず從て 列祖の天下を失はしむるなり汝億兆能々 朕が志を躰認し相率て私見を去り公義を採り 朕が業を助て神州を保全し 列聖の神靈を慰し奉らしめば生前の幸甚ならん 右 御宸翰之通廣く天下億兆蒼生を 思食させ給ふ深き 御仁恵の 御趣旨に付末々之者に至る迠敬承し奉り心得違無之 國家の為に精々其分を盡すべき事 三月 總裁 補弼 |
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